ダイバーシティはトップダウンじゃない-デンカとmarbleMeが開く新時代

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デンカ株式会社

※所属は2024年1月時点のものになります。

  • 常務執行役員
    ライフイノベーション部門長
    高橋 英喜
  • ライフイノベーション部門
    新事業探索部
    原 佳那恵

女性社員の健康上の課題に着目しているデンカ株式会社。marbleMeを通じて社員の生の声に耳を傾けようとしています。marbleMeプロジェクト発足時から参画頂いていたデンカ株式会社の高橋さんと原さんにお話をお聞きしました。

デンカ株式会社とmarbleMeの出会い

marbleMeとの最初の関わりについて教えてください

  • 高橋常務

    私は三井業際研究所での三井グループ各社が集まるビジネス研究会の取りまとめを依頼されたことがきっかけです。0歳からの健康・未病をテーマに1年間にわたり研究を重ねました。その結果、女性の「揺らぎ期」について社会的なソリューションが十分でないことが明らかになり、更にもう1年時間をかけて研究を進めmarbleMeの原型となるアイデアが浮上しました。
    ただ「ビジネス研究会」とはいっても提言だけで終わり、なかなか実際のビジネスまで進むことは少ないのですが、このアイデアに共感し、プロジェクトの立ち上げを支援させて頂きました。

  • 原さん

    もともとヘルスケア領域の新規事業として、女性の健康課題解決にも着目していました。フェムテック分野に興味があった自分としては、marbleMeのような顧客課題に基づくサービスを事業として検討してみたいと考えていました。そんな折、社内でmarbleMeへの参画の機会をいただき、約2年間プロジェクトに参画しました。

    デンカは総合化学メーカーとして幅広い分野製品・サービス開発に取り組んでいますが、ユーザー目線でのサービス設計で不得意な部分がありました。そこでmarbleMeへの参画でサービスデザイン手法を学びたいと考え、実際に利用者の生の声を基に、ユーザーが求めるサービスをイチから構築するサービス設計に関与させてもらいました。現在はプロジェクトを離れ、marbleMe導入の社内担当者として引き続き関わっています。

より利用者視点に立って

原さんの思うmarbleMeの強みをお聞かせください。

  • 原さん

    1利用者としてmarbleMeを利用する中で、女性特有の課題に対し、同じ課題意識を持つ人と出会えるのがmarbleMeの強みだと感じています。

    女性は生理痛や更年期障害などで苦しんでいる人が少なくありません。しかし、そうした女性特有の健康課題はなかなか周囲に理解してもらえず、一人で悩み続けている人が多いです。marbleMeを通じて、同じような悩みを抱える女性ユーザーのリアルな声を直接聞くことができました。それがデンカの製品開発に活かされ、より利用者視点に立った商品作りが可能になることを期待しています。

女性社員への理解を深める

男性目線でのmarbleMeの独自性や共感できる部分をお聞かせ頂けますか

  • 高橋常務

    marbleMeの調査で女性が悩みを打ち明けられない実状を知り、心を痛めたのと同時に、以前は女性社員や家族の悩み事に耳を傾けることができていなかったと自分自身気付かされました。marbleMeが悩む人々の小さな光になれるのであれば、存分に活躍してほしいと考えています。

    また、marbleMe上で女性社員がオープンに議論できる環境があることもとても良い点だと感じました。所属部署や役職を超えて、女性社員同士が悩みごとを正直に話し合える。こうしたコミュニケーションを活性化することが、会社にとっての課題解決につながるはずです。
    私自身、女性社員や家族の女性から直接悩みの相談を受けることはほとんどありませんでしたが、marbleMeを通じて初めて、女性が抱えている実態を知ることができました。例えば妊娠・出産を控えた社員の不安、子育てと仕事の両立に悩む社員の声など、会社としてサポートできることがまだたくさんあるということを痛感しました。marbleMeで得た気づきを社内の制度改善に活かすことで、女性社員がより活躍できる会社になれると考えています。
    もちろん私は男性なのでmarbleMe内での会話は見ることができませんが、marbleMeを通じて、社内の女性社員への理解をより深めていきたいと思っています。
    社長をはじめ管理職の男性にも、ぜひmarbleMeを活用した女性社員の生の声を直接聞いてほしいと思います。現場レベルでの女性理解を促進し、ダイバーシティ推進の後押しにつなげたいです。

ダイバーシティ推進への道筋

今後marbleMeにどのようなことを期待しますか

  • 原さん

    当社は男性社員が多数を占めるため、女性社員の健康課題が「言いづらい」ものとなっているのが実状です。そこで、marbleMeで話し合われる「女性の悩み事」に対する理解やソリューションの提供を通じて、デンカにおけるダイバーシティ推進の後押しができればと考えています。

    例えば、生理痛で仕事ができない、更年期障害でイライラする、妊娠中のストレスが大きいなど、女性ならではの悩みごとをオープンに話せる場がmarbleMeです。こうした女性社員の生の声を積極的に吸い上げ、会社としてどのようなサポートが必要かを明確化できれば、当社のダイバーシティ推進に大きく寄与するはずです。男女が互いの悩みごとを理解し合うことで、働きやすい職場環境が整えられるようmarbleMeの活用を期待したいです。

ダイバーシティ推進にはトップのコミットが大切という意見がありますが、高橋さんはどのようにお考えですか

  • 高橋常務

    確かに以前は、ダイバーシティ推進には経営トップのコミットメントが不可欠だと考えていました。しかしmarbleMeを通じて、現場の女性社員一人ひとりの声に耳を傾けることの大切さを知りました。トップダウンの施策ではなく、ボトムアップのアプローチこそが、本質的な解決につながるのだと気づきました。

    私自身、知らない間に女性社員の悩みを軽視していたことを反省しています。marbleMeのおかげで、改めて女性の抱える課題の深刻さと、解決に向けた現場の声の重要性を知ることができました。ダイバーシティ推進において、トップダウンよりもむしろボトムアップこそが重要なのだと痛感した次第です。